環境適合設計

1.ISOにおける環境適合設計とは
 環境適合設計のISO規格は、2002年に発行された技術レポート(TR:Technical Report)で、その正式なタイトルは、ISO/TR14062:0002“Environmental management―Integrating environmental aspects into product design and development”である。
 ここでは、環境マネジメントシステム14000s規格の一つとして“環境側面(environmental aspects)」を製品設計・開発に組み込もう”を標榜している。
 JISでは、ISOのTRは原則としてJISとは別の分類である「標準情報」に取り入れることになっており、2003年7月1日に標準情報TRQ0007:2003「環境適合設計」として公表された。 なお、標準情報は、公表後5年とされており、2008年7月にTRQ0007:2008として再公表されている。
 環境適合設計は、“Design for Environment”に由来するので、DfEと略することがある。


2.環境適合設計と環境マネジメントシステム
 ISO14001:2004の意図は、本来、組織における活動、製品及びサービスに関する著しい環境側面を適切に管理して、地球環境の保全や改善に貢献することにある。 特に、サービスやソフトウェアなどを含んで、製品についての環境側面を設計・開発、試作、生産準備、生産、供給、使用時、リサイクル時、廃棄時、さらに購買や調達を含んで、そのライフサイクルにわたって、設計・開発の段階から、その環境影響を的確に評価して、対処していくことが必要である。
 ISO14001:2004において、環境側面について、組織が直接的に管理できるものだけでなく、影響を及ぼすことができる環境側面も取り上げて、管理の対象とすることを求めている。 これは、サプライチェーンとして考えることの重要性を意図しており、標準情報(TR)では技術的な手法ばかりでなく、マネジメントシステムと結びついた戦略や経営層の課題が主張されており、ISO14001:2004との相性が極めてよくなっている。
 さらに、ISO14004:2004では、「4.2環境方針」の「実践手引−環境方針」で“d)環境マネジメントの手順及び計画の統合的な利用を通じて、新規開発による著しい有害な環境影響を最小にする。 e)環境側面を考慮に入れて製品を設計する。”、また、「実践の手引−汚染の予防」で“汚染の予防は、新しい製品及びサービスの設計・開発、並びにそれを伴うプロセスの開発に組み込むことができる。 このような戦略をとれば、例えば、組織が製品及びサービスに伴う資源を保全し、廃棄物及び放出物を低減することに役立つ(製品設計の概念及び実作業に関する手引はTRQ0007にある)。“としている。


3.環境適合設計と品質マネジメントシステム
 環境適合設計が適切に実施されるには、環境マネジメントシステムの一環として組み込まれるとともに、新製品開発プロセスあるいは新製品開発システムにおいて、その重要な要素として組み込まれていなければならない。 そのためには、ISO9001:2000品質マネジメントシステムとの連携を図ることが望ましい。
 ISO90010:2000における「7.製品実現」は、ISO14001:2004の「運用管理」のところに相当し、「7.3設計・開発」では、プロセスアプローチが反映されて、設計開発のプロセスをインプット情報からアウトプット情報に変換する仕事と見ていること、プロセスが適切に実施している(アウトプットがインプットの要求事項を満たしている)ことの検証や結果として得られた製品が指定された用途や意図に関する要求事項を満たしているという妥当性確認について規定している。
 さらに、ISO9004:2000において環境適合設計に関連して、「6.1.2考慮すべき課題」で“天然資源の使用及び資源の環境への影響、将来の資源の必要性に関する計画”、「7.1.3.3製品及びプロセスの妥当性確認、並びに変更」の「考慮すべき課題」で“天然資源の使用及び資源の環境への影響、将来の資源の必要性に関する計画”、「7.3.1共通の手引」で“製品及びプロセスの設計・開発を行うに際して、管理者は、組織が基本的なパフォーマンス及び機能だけではなく、顧客及びその他の利害関係者から期待されている製品及びプロセスのパフォーマンスを満たすことに寄与する要素についても、考慮する能力をもっていることを確実にするとよい。 例えば、組織は、ライフサイクル、安全、健康、試験可能性、利便性、使い勝手の良さ、ディペンダビリティ、耐久性、人間工学、環境、製品の廃棄及び特定したリスクを考慮するとよい。” と述べている。


4.標準情報「環境適合設計」の構成
 「序文」で環境マネジメントにおける環境適合設計の重要性などを述べ、「1.適用範囲」でこの標準情報が環境適合設計に関する概念とその実施について記述すること、また、この文書において、製品は“もの”及び“サービス”を含むことに触れている。 「3.用語と定義」では、ISO14001(EMS)から「環境」、「環境側面」、「環境影響」、ISO14040(LCA)から「ライフサイクル」、「製品システム」、ISO9000から「プロセス」、「製品」、「設計・開発」を引用し、独自には「サプライチェーン」を定義している。
 従来の環境適合設計の考え方は、環境に配慮した製品開発とか環境にやさしい製品設計などといわれて、本情報標準での「7. 製品の検討課題」あるいは「8. 製品の設計・開発プロセス」に対応する製品自体の検討課題や製品の設計開発プロセスでのエンジニアリングないし技術的な面での基本的な考慮事項が論じられてきた。それに対して、この標準情報は、「5. 戦略に関する検討課題」の組織としての戦略の一環としての検討、「6. 経営層の検討課題」で経営層としての取り上げ方を論じていることが特徴になっている。
環境適合設計を成功させるには、製品開発での技術的な課題のほかに、戦略的、経営的な面からの支持が不可欠であるとの認識に立っている。


<参考図書> 吉澤正・横山宏・中山哲男編著『環境にやさしいものづくり新展開』日本規格協会、2004年


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