JIS Q 9024
『マネジメントシステムのパフォーマンス改善―継続的改善の手順及び技法の指針』の概要


このJIS規格は、マネジメントシステムのパフォーマンスを継続的に改善する手順/技法の指針であり、その概要を説明します。

0.序文
 環境の変化、顧客要求の多様化によって、要求事項を満たす能力を不断に高めることは、極めて重要である。 差別化された製品開発の増大は、必然的にそれを実現する能力を高めておくことを要求する。 したがって、その能力を高める方法論の重要性が増している。【我が国の競争力強化】

―顧客満足

―品質、コスト、サイクルタイムの改善

―収益、市場占有率などのパフォーマンス改善
【JISQ9023と同様に、“TQM標準化調査研究委員会”が1999年12月に設立され、2002年4月から活動内容はそのままで“品質マネジメントシステム規格委員会”に名称変更し引き継がれ、将来的にISO9004の改訂案としてISO/TC176に提案することを目的の一つとしている。】


1.適用範囲
 この規格は、組織のマネジメントシステムのパフォーマンスを効果的かつ効率的に改善していくための支援技法として、継続的改善のための手順及び技法に関する指針を定めた規格であり、効果的かつ効率的に問題解決し、課題を達成する技法を提供している。
【・この規格は、品質だけでなく、コスト、納期、量、安全、環境を含む、すべてのマネジメント領域で適用できる手引きを提供しており、組織を運営管理するための様々な活動と調和し、その目的達成を支援する。
 ・継続的改善の手順は問題解決型、課題達成型の概念を入れいずれにも適用できる。】


2.引用規格


3.定義(主要な用語のみを示す)

3.1 継続的改善(continual improvement) 問題又は課題を特定し、問題解決又は課題達成を繰り返し
    行なう改善。
【JISQ9000/2006:要求事項を満たす能力を高めるために繰り返し行なわれる活動】
3.2 問題 (problem)  設定してある目標と現実との、対策として克服する必要のあるギャップ。
3.6 課題(issue)  設定しようとする目標と現実との、対処を必要とするギャップ。
3.3 要因(cause)  ある現象を引き起こす可能性のあるもの。
3.4 原因(root cause)要因のうち、ある現象を引き起こしているとして特定されたもの。
3.5 問題解決(problem solving) 問題に対して、原因を特定し、対策し、確認し、所要の処置をとる活動。
3.7 課題達成(issue achieving) 課題に対して、努力、技能をもって達成する活動。


4.基本概念

4.1 継続的改善の原則
   この規格が提供している継続的改善に対する指針は、次の原則に基づいている。
  a) 製品、プロセス及びシステムへのアプローチ
  b) 事実に基づくアプローチ
  c) 論理的思考の一貫性
      現状把握、問題点・原因の抽出、対策の立案、実行、評価
  d) 改善機会の探求
  e) 漸進的な改善及び現状打破
      新製品及び新技術の開発、新たなプロセスの構築、新事業への進出
4.2 トップマネジメントの役割
4.3 継続的改善のプロセス
  ・ 計 画:課題、目標、方策、管理項目
  ・ 実 施:スケジュールの決定、担当者の決定等
  ・ 実施状況の確認:評価、問題点の明確化等
  ・ 処 置:応急処置、プロセスの異常の改善、新たな計画への移行等
  ・ 標準化:再発防止、標準類の発行


5.継続的改善の運営管理

5.1継続的改善の課題
   改善には、たゆまぬ漸進的な活動から、ブレークスルーによる戦略的な改善プロジェクトまである。
・ 製 品: 顧客のニーズに応え、組織の存在価値の核となる。
顧客のニーズを先取りして、組織の競争優位の源となる。
顧客に対して製品の品質を保証する。
・ プロセス: 組織の方針、方策を立案、実施する。
組織を支える人材を教育・訓練する。
組織を支えるコアコンピタンスを構築し、新たな技術・製品を開発する。

5.2継続的改善のための組織化

5.3継続的改善のための環境
・コミュニケーション: トップマネジメントは、事業方針及び目標を、組織の人々に効果的、かつ効率的なコミュニケーション手段によって、周知させる。
・評 価: トップマネジメントは、継続的改善の目標達成に対する組織の人々の動機付け・満足度向上にも貢献できるよう、パフォーマンス改善の結果に対して、報奨する制度などによって評価する。
・提案制度:
提案件数及び提案内容の質を確保するために報奨する制度を取り入れる。また、優秀な提案を公開し、成果の共有化を図る。
・教育訓練: 教育制度の設置、教育・訓練プログラムの策定と管理
・情報技術の活用:
 


6.継続的改善の手順

6.1一般
・問題解決型プロセス: 顕在化した問題、ボトムアップ型、現存するプロセスの中で行なわれるたゆまぬ改善活動
・課題達成型プロセス: 潜在的な課題、トップダウン型、現存するプロセスの変更と改善、又は新規プロセスの実施

次のシークェンスは循環型であり、どこから始めてもかまわない。
PDCA(Plan、Do、Check、Act)のサイクルはまたCAPD(Check、Act、Plan、Do)でもある。
JISQ9024;2003-継続的改善の手順
6.2.1 テーマ選定: 顧客の要求重視、トップマネジメントの関与、組織の目標重視(全体最適)無理のない項目数、
              範囲の限定
       支援する技法の例
       【マトリックス図、ブレーンストーミング、マルチボーティング、パレート図】

6.2.2 現状の把握: 現状の把握は、問題に関するデータの種類、収集方法、分析方法(5W1H)を明確にし、
              収集したデータを一定期間蓄積して分析することにもと基づいて実施する。
       支援する技法の例
       【パレート図、ヒストグラム、層別、グラフ、管理図、チェックシート、特性要因図、プロセスマッピング】

6.2.3 目標の設定: 目標設定の手順は5W1Hにより行なうとよい。
       支援する技法の例
       【ベンチマーキング、ブレーンストーミング、グラフ】

6.2.4 実施計画の策定: 目標を達成するための実施計画は、具体的な解決の実施ではなく、目標達成までに行なう
              大まかな作業をタイムスケジュールとともに示すものとして策定する。
       支援する技法の例
       【アローダイアグラム、ガントチャート、グラフ】

6.2.5 要因の解析: 目標と現実とのギャップの要因を探し出す。要因の解析の手順を次に示す。
  a) データ、プロセスの分析:客観的に先入観なしに事実に基づいて行なう。
       支援する技法の例
       【FTA(Fault Tree Analysis)、層別、グラフ、プロセスマッピング、管理図、ヒストグラム】

  b) 要因に関する仮説設定:可能性のある要因から、その問題を生んでいる仮説を設定する。
       支援する技法の例
       【特性要因図、連関図】

  c) 仮説の検証:因果関係を判定するために、データを分析する。データとの整合性が高いと思われる関係に
              ついては、更に収集したデータを基に試験する必要がある。
       支援する技法の例
       【散布図、相関分析、多変量解析】

  d) 仮説の採用、又は棄却:因果関係が検証されたなら、更に“極めて重要な少数の要因を選択する”プロセス
              に移り、仮説を精緻化する。
       支援する技法の例
       【検定・推定】

6.2.6 対策の検討及び実施: 解析し探し出した要因を取り除く、又は要因が取り除けない場合にはその影響を
              取り除く対策を講ずる。修理、手直し、又は選別のような、プロセスの産出物への修正だけに
              頼ると、品質の損失を永続させることになる。対策の検討及び実施の手順を次に示す。
  a) 要因を取り除く対策案の列挙
       支援する技法の例
       【系統図、親和図】

  b) 対策案の決定
       支援する技法の例
       【実験計画法、品質工学(タグチメソッド)、特性要因図、マトリックス図】

  c) 採用時リスクの検討
       支援する技法の例
       【FMEA(Fault/Failure Mode and Effects Analysis)、PDPC(Process Decision Program Chart)】

6.2.7 効果の確認: 対策を実施した後に、適切なデータを収集して分析し、その効果を確認する。確認された
   データは、先に調査して因果関係を確認するために収集したときと同一の基準にのっとって収集する。
    対策を実施した結果、解決策の基準を達成したかどうかを見極め、達成できていなければ“要因の解析”の
   ステップで収集したデータに偏りなどがあり、要因の解析が不十分であったか、“対策の検討及び実施”の
   ステップで因果関係の弱い対策案を採用したかになる。
    効果の確認は、初期に設定した基準値との比較であることはもちろんであるが、それを定められた手順に
   よって金額換算するなどの別次元での効果におきかえるとよい場合がある。これは効果の大小を組織横断的に
   評価するのに役立つ。
       支援する技法の例
       【管理図、チェックシート、パレート図、ヒストグラム、品質工学(タグチメソッド)】

6.2.8 標準化及び管理の定着:
       支援する技法の例
       【チェックシート、管理図】

6.2.9 改善処置が完了したプロセスの有効性及び効率の評価


7. 継続的改善のための技法

7.1 数値データに対する技法
パレート図 改善すべき事項(問題)の全体に及ぼす影響の確認、及び改善による効果の確認に使用する。 “少数の重要な事項”が明確になり、対策を進めることができる。
グラフ データの大きさを図形で表し、視覚に訴えたり、データの大きさの変化を示したりして理解しやすくした図である。
チェックシート 計数データを収集する際に、分類項目のどこに集中しているかを見やすくした表、又は図である。
ヒストグラム 計測値データを統計的に解析して、中心傾向(平均値、メジアン、モード)、出現度数の幅、範囲、及び形状を表すことができ、工程の異常やばらつき等を認知するのに使用する。
散布図 二つの特性の相関関係を見るために使用する。
管理図 標準的なプロセスにおいて時間の経過とともに変動する量を測定するために使用する。管理図は、統計的プロセス管理に密接に関連しているので、製造又はプロセス管理が主な用途である。
マトリックス・データ解析 大量にある数値データを解析して、項目を集約し、評価項目間の差を明確に表すために使用する。
層別 グループ間の特性発生の違いを見つけて、ばらつきの原因系を分析するために使用する。

7.2言語データに対する技法
特性要因図 問題の因果関係を整理し原因を追究することに使用する。 また、問題に対する解決策を実施するために採用する必要のある基本要素の根本原因を見出すために使用する。
連関図 問題の因果関係を解明、解決の糸口を見出だすことに使用する。
系統図 問題に影響している要因間の関係を整理し、目的を果たす最適手段を系統的に追求するために使用する。
マトリックス図 多元的思考によって問題点を明確にしていくために使用する。
親和図 問題が錯綜していて、いかに取り組むかについて混乱している場合に、多数の事実及び発想などの項目間の類似性を整理し、あるべき姿及び問題の構造を明らかにする際に用いられる。
アローダイヤグラム 標PERTと呼ばれる日程計画及び管理の技法で使用され、特定の計画を進めていくために必要な作業の関連をネットワークで表現し、最適な日程計画を立て効率よく進捗を管理するために使用される。
マトリックス・データ解析 大量にある数値データを解析して、項目を集約し、評価項目間の差を明確に表すために使用する。
PDPC 事態の進展とともに、各種の結果が想定される問題について、望ましい結果に至るプロセスを決めるために用いられる。 具体的には、問題の最終的な解決までの一連の手段を表し、予想される障害を事前に想定し、適切な対策を講じる場合に用いられる。


7.3 プロセスマッピング
プロセス全体を示して高度の認識性があり次の事項に使用する。
・製品、情報、帳票など一連の流れを明確にする。
・重複している業務、情報、帳票又は欠落している業務、情報、帳票を確認する。
・予想される障害を事前に想定して、改善及び効率化をはかる。


7.4 ベンチマーキング
 業界内外の優れた業務方法(ベストプラクティス)を探索し、自組織の業務方法と比較して、ギャップを分析し、自組織に適切なベストプラクティス及び実施方法を導入することによって現行業務プロセスを飛躍的に改善・革新する、体系的な方法である。


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